小さな幸せ
身体が熱くなっているのが分かった。

くらっとしたと思った瞬間に

目の前が黒一色になった。

誰かの声語聞こえたけど、

もうどうでもよくなった。

誰かあたしをここから助けて。


暗闇の中、誰かが手を握って出口まで連れって行ってくれる

心の底からわき上がる安心感

大丈夫だよ。

握られた手の温もりにあたしは子どものように縋りついていた。

「あなたは誰?」

ハッと目が覚めると保健室のベッドの上、

一人で眠っていた。


「ああ、目が覚めたんだね?」

シャッとカ-テンを開けながら、

養護教諭の高橋先生が私の顔を覗き込んだ。

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