小さな幸せ
それから三日三晩、円は眠り続けた。

途中何度か目が覚めたが、起き上がる気力もなく、

三日目、目が覚めた時、傍には

うろたえて半泣きになっている母がいて驚いた。

そして忙しくて普段家にも寄りつかない父までが

枕元にいた時には、二度驚いたのは言うまでもない。

突然娘が、ベッドから三日も起き上がれなかったのだから。

それ程までに、疲労とストレスが溜まっていたのだと、

本人も驚いたが、

無理を言えば音を上げて諦めると無理を強いていた両親は

これ以上、無理を言っても諦めないどころか、

命すら賭けてしまうんじゃないかと円の頑固さに諦め、

「好きにしていいから無理するな。」

頑なだった父からお許しがでたのだった。


円が、目覚めない間に、

様子を見に来た担任の高田Tと、養護教諭のアドバイスと、説得。

編集者と、今後の事を話し合って

頑固娘の処遇を決めていたことは後から知った。




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