小さな幸せ
中3の冬

突然父が逝ってしまった。


朝起きると物を言わなくなっていた父。


俺たち家族は大黒柱を失い引っ越しを余儀なくなり、

母の実家に身を寄せるしかなかった。


数年して、

母は今の義父と再婚した。


逃げるように家族から離れた東京の大学で、

桜花と再会した時、運命かと心躍った。


しかし、すでに由貴と付き合っていた。


俺達は時には友人として、

時には恋人の様な付き合い方をした。

お互いかけがえのない存在になれていたのかと

勘違いする事もあった。


でも、桜花が選んだのは、

やっぱり由貴で、

大学卒業とともに連絡を絶った。


俺にとって、桜花は特別で、

大切な存在だっただけに、

簡単には割り切れなかった。


7年ぶりに着いた手紙は二人の結婚招待状だった。


すぐに結婚するかと思った二人が

今までしなかったのには

何か理由があったのだと思うが、

招待された限り、

親友として心から祝福したいと思っていた。

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