小さな幸せ
携帯に連絡を入れると
スイミングスク-ルから飛び出すように彼女が出てきた。
この前会った時とはイメ-ジが違うので驚いた。
さっきまでプ-ルで仕事をしていたんだろう。
化粧もそこそこに飛び出してきたのだから、
殆どすっぴん状態で、
髪からは生乾きのシャンプ-の匂いがした。
確か29歳って言っていたが、
20そこそこにもみえるあどけなさが残る彼女に
ひと目で脈拍が上がってしまった。
「あの?」
首をかしげて俺を見る彼女。
「あ、そうだった。早く乗って!!」
今朝の天気予報で、
今日を逃すともう見られなくなる特別な場所に
彼女を連れて行こうと決めていたから。
昨日仙台から帰る途中で、
前任の学校の同僚から連絡が入って、
毎年見に行っていたのに、
今年は未だ観ていなかったことを思い出したから。