小さな幸せ
「ああ、気にしないで、俺が大学の時に再婚したんで、
その時東京だったし、
で、俺がこっちに就職したんで、
ここに住めって母親が用意したわけ。」
「兄弟は?」
「ああ、半分血のつながった妹がいるよ。
11歳で生意気だよ。」
「そうなんですかあ…」
「なんて顔してんの?
俺全然不幸とかじゃないし、
結構生活エンジョイしてんだから。
誰にも干渉されないし。」
「嘘だよ、
こんな広い部屋でひとりでお弁当食べて…
そんなのエンジョイじゃないよ。」
「うっく。」
ぼろぼろ涙をこぼすあたしに
また箱ごとティッシュ押しつけて来て
今度は自分もそれ使ってた。
「そんなうれしいこと言うなよ。」