天才Maria†


ガヤガヤと騒がしい大通りを、駅に向かって歩く。



今日も人が多い。

一週間で慣れきった道を歩くと、駅が見えてくる。


定期で改札を通り抜け、駅のホームで電車を待つ。





5分ほどしてホームに来た電車に乗り込み、空いている席に座る。



1駅、2駅と過ぎたところでお婆さんが立っているのに気付いた。

周りを見渡しても、そのお婆さんに席を譲ろうと言う人は居ないらしい。

私はひとつため息をついて席を立ってお婆さんに話し掛けた。


「あの、席、どうぞ。」

私が話し掛けるとお婆さんは一瞬驚いた様な仕草を見せてから柔らかく笑った。

「まぁ、有り難うね。折角だから座らせて貰うわね。」

そう言うと、私が座っていた席へゆっくりと腰掛けた。





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