天才Maria†
ロケ当日。教室は朝からザワザワとしていた。
撮影前に今回のドラマの監督と、主役の西条 渉が挨拶に来るらしい。
暫くして、担任がいつものように教室に入ってきた。
「おーっす。今日から1週間授業なしで撮影の手伝いだ。んで、撮影を監督してくださる清瀬 謙士監督、主演の西条 渉さんにが挨拶に来てくださったので、失礼の無いように。どうぞ清瀬さん、西条さんお入り下さい。」
ガラッと音を立てて扉が開き、2人の男性が入ってきた。
私は、2人目の男に思わず目を奪われた。
そこにはとても綺麗な男(ヒト)がいた。
艶やかな漆黒の長めの髪、
異常なまでに整った顔
そこから覗く、深い黒の目。
周りが騒いでいるにもかかわらず、その男の周りだけ空気が違った。
私はその男、西条 渉を2、3秒見た後視線を窓の外に移した。