赤い狼と黒い兎Ⅱ




そりゃ強ぇや、と自嘲的な笑みを浮かべるリョウ。




「だから喰に攻めて来たのか」

『そう』

「俺も捕まえんだろ…?」




諦めたように言うリョウに、あたしは首を傾げた。




『何言ってんの?捕まえる気だったら、こんなとこ連れてこねーよ』

「……は?」

『唯一まともなのがリョウだけだったから、あたしが引き取ったまでの事。』

「は…、ちょ、待て待て!どういう意味だ…?」




またもや混乱するリョウに、あたしは溜め息を吐いた。




『だから、喰の中にまともなのがリョウしか居なかったから持って帰って来たんだよ』

「持って帰って来たって俺は物かっ!…ってそうじゃねぇ……」

『つまり、あたしはあんたをある意味助けたんだよ。本来なら捕まってるところを』

「何でまた…?」




理解の遅いリョウに再び溜め息を吐き、今度は亜稀羅が説明をはじめた。




「黒狼がリョウを拾ったって事は、もうmoonの一員って事」

「………はぁああ!?」




うわ、うるさ…。そんな驚く必要あるか……?




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