赤い狼と黒い兎Ⅱ
あたしはニッコリと笑ってリョウの頭を撫でた。
『ああ。…今日からお前はwolfmoonの一員だ。涼…頭上げろ』
ゆっくりと頭を上げ、ジッとあたしを見つめる。
『良い目だ。moonに入ったからには、仲間を大切にしろ。ここに入った責任と誇りを持て。いいな?』
「はいッ!!」
『ん。じゃメンバーに発表しに行くか。』
「改めてよろしくな、涼」
「こちらこそよろしくお願いしますっ」
『敬語似合わねー』
そんな笑い話をしながら、総長部屋を出た。
見事に倉庫はドンチャン騒ぎ。まぁ酒飲んでないだけマシか。
「うわぁ、すげぇ……」
目を輝かせる涼にふっ、と笑い息を吸い込んだ。
『おめぇらッ!!』
そう声を上げるだけで、騒がしかった倉庫が一気に静寂に包まれる。
『今日はお疲れ。ありがとな、手伝ってくれて』
「とんでもない!久々に馨さんの後ろ姿見て嬉しかったですっ!」
所々からそんな声が聞こえ、あたしも嬉しくなった。
『みんなにお知らせ。新しいメンバーなんだけど…、元は今日潰した喰に居たけど。お前らも見た通り』
あたしは隣にいた涼の肩に腕を乗せ、ニヤリと笑った。
『コイツはあの腐った連中とはちげぇ。唯一まともだった奴だ。コイツも好きで入ったワケじゃねぇ。だから、またここからやり直す為にmoonに入る事を決めた。…お前ら、なんか言いたい事あるか?』