赤い狼と黒い兎Ⅱ
「唯兎と郁が居ねぇ……」
『!』
そう亜稀羅に言われ、改めて部屋を見渡した。
確かに、2人がいない。向日葵と龍希と朔弥しか居ない。
何で…?
「なぁ?兎と郁どこ行ったワケ?」
ナイスなタイミングで春架がそう聞いた。
「さぁ?ここ最近学校来てねぇけど」
「まぁ、馨が来たから来るんじゃない?」
……アイツらはそんな単純な奴らだったか…?
そう考えていると、ガラッと扉が開いた。
「うおっ!?」
未だに亜稀羅に抱きつかれて居るため、振り向く事が出来ない。が、なんとなく声で分かった。
「あ?亜稀羅じゃねぇの。つーことは、みんな居んのか?」
「つか…ドアの前で何やってんの亜稀羅…」
最初に喋ったのがたぶん郁で、次喋ったのが唯兎だな。