赤い狼と黒い兎Ⅱ
『もしもし?』
《…今は授業中のハズでしょう?》
『それ言うために電話してきたのか、お前は』
まさか出て第一声がそれか。マジか。あり得ねぇだろおい。
《違いますけどね》
『何ですかー?』
すると向こうから張り詰めたような空気が伝わってきた。
《先日捕まえた“喰”の事で》
『…何?』
《“喰”を捕まえた事によって、傘下達が暴れ出しました》
うん、それは今聞いた。
『それで?』
《それで…───その傘下達が今、あなた達の学校に向かっています》
『………は?』
向かっていますって……。何で、ここが分かったんだよ?
《それも1つだけじゃない。複数の人間がそっちに向かっています》
『……それ、全部か?』
《…恐らく》
あたしはソファーから立ち上がり、窓の側に近寄った。
生憎、外は雨。ここで喧嘩をやるには少し視界が悪い。
『チッ…タイミング悪い』