赤い狼と黒い兎Ⅱ
「馨?どうした…?」
横に唯兎とやって来て、あたしは唯をジッと見つめた。
…今回は流石に手伝って貰わなきゃ収集つかない、かもな……。
「?」
首を傾げる唯兎に手を差し出し、戸惑いながらもその手を握る唯兎。
相変わらず…あったかい……。
《朱雀もそこに居るんですか?》
『ああ…』
《そうですか……》
『念の為に、近くに居てくれないか?どうせ捕まえんだろ?』
“捕まえる”という言葉に部屋にいる全員が反応した。
《ええ、人数も結構居るんでね。こちらも大人数で向かいますよ》
『…こっちはこっちでいいのか』
するとドタドタッと誰かが急いで走っていた。その足音は音楽室の前で止まり、壊れるくらい勢いよくドアが開いた。
「おい!馨やべぇぞ!!」
青夜が何が言いたいのか分かった。
あたしだってやべぇって思ってるよ。でも来たもんはしょうがねぇ。
『じゃ、いざという時の後ろ盾お願いしますね~』
《はぁ…分かってますよ。では。》
ブチッと通話は切られ、ケータイをパチンと閉じた。