赤い狼と黒い兎Ⅱ
周りを見れば、こっちが圧倒的に勝ってる。
やっぱり力の差か…。
たぶん主犯格と思われる奴らに近付けた。
『…これがお前らと俺らの力の差だ。どうする?もう後には引けねぇぞ』
そういうと俺の真正面に居た男が狂ったように笑い出した。
「アハハハハッ!!それで勝ったつもりか!?」
『あ…?』
そいつを視界に入れ、改めて目を見た。
目の、焦点が合ってない……。こいつ何するか分かんねぇ…!
そう思って身構えようとした時は遅く────
「死ねぇええ!!!」
────バァァンッ!!
「か…っ、馨ー!!」
「総長!!!」
───黒光りする銃を微かに避けるので手一杯だった。
しっかり避ける事が出来なかったから、仮面が割れた。
まあ、仮面のおかげで掠り傷1つねぇけど。でもあの仮面気に入ってたのになぁ…。
フードにも穴空いちゃったし、どーしてくれんだよこれ。
「チッ…外れたかった」
『残念。これが外れてなかったり…?』
お前のおかげで、仮面は割れたしフードは穴空いちゃったし。
最悪じゃん?……泣いて謝ったって許さねぇぞてめぇ。
『ま…俺がフード取る事なんか滅多にねぇからなぁ…。一応拝んどけよな?』
そう言ってフードを取った。
徐々に髪の毛が雨に濡れて、ぺちゃんこになる。
こういう時、髪短くて良かったーって思うわ。ショートだと男に見えるし。