赤い狼と黒い兎Ⅱ
第8章
とりあえず、抗争はこれでおしまい。
今のところ平和だから大丈夫だと思うけど…。油断大敵って言うからね。
夜の見回りはしっかりやってます。
「しっかし……」
「「暇だなぁ……」」
ただ、喧嘩好きのこいつらにとっちゃ抗争が無くなると一気にだらける。
まぁかく言う、あたしもだけど。
「ねぇ、馨ちゃん?何かしない?」
そんな深子の提案にも、あたしは何もしない。というかしたくない。
だいたい深子が考える事はいつも面倒くさい。
『何もしない』
「しようよぉ~。暇じゃん?暇でしょ?暇だよねぇ?」
『じゃあ外行って遊んできなよ』
「何その“元気な子は外で遊びましょう!”みたいな小学生的なノリ」
『元気じゃん。小学生じゃん?』
「これでもッ、一応ッ、高校生ッッ!!」
『あーそうだったな』
横でギャーギャー騒ぐ深子が煩くて、耳を塞ぐ。
「何それ~!」
「深子、自分で“一応”って言ってる時点でアウトだよ」
琉樹に冷静に突っ込まれた深子は頬を膨らませて、磨子を半ば無理矢理連れ出してどこかへ行った。
「あー。やっと静かになったよ」
「遊びたいお年頃なんだよ」
「何その青春真っ盛りなんだよ的な言い方」
『いやぁ、でも暇だよなぁ……』