赤い狼と黒い兎Ⅱ



『中坊だし免許持ってないからさ、それまで改造の勉強させてやろうと思って』

「ふぅん…。お前は下っ端思いだよね」

『そりゃあね。仲間だし、家族も同然』



総長部屋に連れて来られ、タンスを漁る唯兎。


それをベッドに座って見るあたし。



『唯サーン?』

「んー?」

『同盟もちゃんと仲間だからね?家族だよ?』



ゴソゴソと漁る手が一瞬止まり、ふっと笑った声が聞こえた。


ちょっと、あたしが柄にもなく不安になったり。



「知ってる。つか、俺はそれ以上だろ?」



自信あり気な表情で見てくる唯兎に、なんとなく頷くしか出来なかった。



「ま、安心しろよ。俺はずっと馨の傍に居るし。離せって言われても離す気ねぇから」



太陽みたいな、って言ったら大袈裟かもしれないけど、唯兎はまるであたしの太陽で。


ただただあたしの心を暖かくしてくれる。


まるで、あたしだけの太陽。…そんなこと思うなんて柄じゃないけど。



『こんなあたしでも?』

「馨は馨。全部ひっくるめて馨が好きなんだよ」



……超ドストレート。逆にこっちが恥ずかしくなる。



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