赤い狼と黒い兎Ⅱ



すると、ボスン、とベッドに押し倒された。


………押し倒され…?



『ちょっ、唯サン…?』



明らかに今の状況はおかしい、ていうか危ない!あたしがっ!


だって!唯兎の顔が!怖いっ!



「ま、あの2人だからしょうがねぇよな~」

『……うん、まぁ………。んっ』



これが普通の男だったら、普通に蹴り飛ばしてるんだろうなぁ…。


なんて呑気なことを考えていたら、唯サンの手が止まった。


…あ、さり気に服を捲られてましたよ。



「……嫌がんねーの?」

『嫌がって欲しいなら最大級の嫌がりを見せるよ』

「……いや、うん」



苦笑い気味に笑って、体を起こす唯サン。


あたしはベッドに寝転がったまま。欠伸をなんとかかみ殺して。



「傷…」

『ん?』



未だに捲り上がったままの服。露わになった腹には無数の傷跡。



「残ってんなぁ」

『まぁね。勝利の勲章、みたいな』



ふっ、と笑えば腕を引いてあたしを起きあがらせた。



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