赤い狼と黒い兎Ⅱ



「ありすぎだ、バーカ」

『唯にもあるでしょー?』

「俺はいいの!男だから」

『差別反対』

「これは普通。あんま傷作るなよ?」

『これ以上何も無ければ、ね』

「…ったく」



小さく溜め息を吐いてチュッと触れるだけのキスをした。



『いつかは、刺青も見れるかもね…』

「ん、いつか?そのいつかを今に……」

『しねぇからな。着替えるからさっさと出てけ』

「ひっでぇなお前」



わざと悲しそうな顔してくる唯兎にべーっと舌を突き出した。


唯はチッと舌打ちをして、部屋を出て行った。



『いつかね、いつか……』



そう呟いて、着替えるためベッドから立ち上がった。


中のTシャツはそのままで、つなぎを着た。上半身の部分は腰に巻き付けて靴はそのままでもいける。


あとは髪型だな…。



『やっぱショートヘアーって楽だな~』



左サイドの髪の毛を耳にかけ、ちょうどあったヘアピンで×を作って留めた。


よっしゃ、カッコいい感じに出来た。



『……もうそろそろ髪、染め直そうかな』



そんな独り言を呟いて部屋を出た。



< 214 / 360 >

この作品をシェア

pagetop