赤い狼と黒い兎Ⅱ
「ありすぎだ、バーカ」
『唯にもあるでしょー?』
「俺はいいの!男だから」
『差別反対』
「これは普通。あんま傷作るなよ?」
『これ以上何も無ければ、ね』
「…ったく」
小さく溜め息を吐いてチュッと触れるだけのキスをした。
『いつかは、刺青も見れるかもね…』
「ん、いつか?そのいつかを今に……」
『しねぇからな。着替えるからさっさと出てけ』
「ひっでぇなお前」
わざと悲しそうな顔してくる唯兎にべーっと舌を突き出した。
唯はチッと舌打ちをして、部屋を出て行った。
『いつかね、いつか……』
そう呟いて、着替えるためベッドから立ち上がった。
中のTシャツはそのままで、つなぎを着た。上半身の部分は腰に巻き付けて靴はそのままでもいける。
あとは髪型だな…。
『やっぱショートヘアーって楽だな~』
左サイドの髪の毛を耳にかけ、ちょうどあったヘアピンで×を作って留めた。
よっしゃ、カッコいい感じに出来た。
『……もうそろそろ髪、染め直そうかな』
そんな独り言を呟いて部屋を出た。