赤い狼と黒い兎Ⅱ



心配そうな面持ちで見てくるメンバー。別にあたしは至って普通。




『…ええ。前に』

「…悪かったな。葬式にも出てやれずに」

『いえ。皆さんお仕事でお忙しいのに。こうやって来て頂けただけで嬉しいです』

「馨ちゃん……」




ニコリと笑ってその場を制した。この話はもう終わり、と。




「……今回俺らが来たのは」

「親交を深めようかな、って思ったからだ」

『親交…?』




あたしが聞き返して剛さんが深く頷いた。




「どの代でも、年に一度は集まって親交を深めてたんだよ」

「まぁ、俺らの都合でちょっと間隔が空いちまったけどな」

『…(そんなのあったのか…)』




昔から朱雀には入り浸ってたけど…そんな会があったなんて初めて知った。




「で、せっかくだからmoonの歴代も呼ぼうかなーなんて……」

『えっ!?呼んだんですか!?』




自分でも分かるくらい血の気が引いていった。




「呼ぼうとしたんだがなぁ」

「あいつらも俺らと同じように忙しい身だからな。今回は諦めた」

『(良かった……)』




moonの歴代なんて、来られたらたまったもんじゃない。


歴代からお騒がせメンバーなのに…。




「まぁ、そうガッカリするなよ馨」

『……してませんよ』

「そうそう。今年中にはみんな集まれるからさ」




……いやいや!集まんなくていいし!むしろ接待が大変だから…って今日も大変だけど!あの人達が一番大変だからっ!!





『あはは……。楽しみにしときますネ』





何人気付いたかな。あたしのから笑いに。




「まぁ全員揃うなんて滅多に無いし。聞きたい事は今のうちに聞いとくといいよ」




全員か…大変だ、な……。ん?ちょっと待てよ?




『……あの、』

「ん?どした馨」

『全員集合って事は、瑠宇も…来ますよね?』

「ああ、そうだな。アイツ5代目だからな」




……で、ですよね~。




『はぁ……』




接待、大変そうだな……。



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