赤い狼と黒い兎Ⅱ
「あれあれ?お話もう終わっちゃったカンジ?」
「たった今、タイミング良くね」
「それ良くねーじゃん!」
あちゃー、と頭を掻く春架に麻友美は邪魔そうに眉間にシワを寄せていた。
「入るならとっとと入れバカ」
「いてっ!?」
ゲシッ、とケツを蹴られた春架は顔面からソファーにダイブ。
「てめっ、蹴る事ねぇだろ!」
「馨、何の話してたの?」
「ムシかてめぇ!」
……相変わらず騒ぞうしいな。
「そう言えばさ!馨チャン!」
『……なんだよ』
興奮気味の深子だけど、その眉間にはシワが寄っている。
「もうすぐテストらしい!」
「倉庫行ったらみんなベンキョーしてやがった!!」
「「あっ!テスト!!」」
龍希と向日葵は顔面蒼白で、唯兎と郁、朔弥は何でもない顔をしていた。
琉樹もね。
『……で、何だ?』
「「ベンキョー教えてください!!」」
『やだ。面倒くさい。自分達でやれ』
「「えーーーー!!!」」
双子は左右にいた唯兎と亜稀羅を押し退けて、抱きついて来た。
…後で怒られても知らねーぞ。