赤い狼と黒い兎Ⅱ
『…面倒くさいからしない』
机に突っ伏し、腕の中に顔を疼くめ窓の外を眺めた。
するとガラガラと教室の扉が開き、そこから加奈子が入ってきた。
「はい、勉強道具しまいなさーい。カンニングはしないことー」
隣にいる向日葵はそわそわとしだして、落ち着きがなかった。
「諦めないで最後までやりなさいよ。じゃあ、始め」
加奈子は問題用紙と解答用紙を配り終えてからそう言った。
1時間目は国語。
問題用紙をしばらく見つめてから、シャーペンを走らせ約10分。
さっさとやって終わらせたあたしはそのまま寝た。
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「はい、やめ。シャーペン置いて、後ろから集めて〜。あ、郁、馨の代わりに集めて」
「はいはい」
ガタガタと動く椅子の音が聞こえ、ゆっくりと目を開けた。
「じゃ次、数学だっけ?頑張りなさいよー」
そういう加奈子の声を聞いて首を動かし、体を起こした。
……いつの間にか終わってた。
はぁ、と息を吐いてまた寝ようと頬杖をつくと向日葵に話し掛けられた。
「馨!」
『……何、向日葵』
興奮気味の向日葵を横目で見つめた。思いのほか低い声だったのに、自分自身驚いた。
「馨、テスト始まってちょっと経ってからすぐ寝てたけど大丈夫なの?」
「マジ?馨」
みんなに驚くように見つめられて、また溜め息が出た。
…ここに亜稀羅が居てくれたら、あたしの代わりに答えてくれてたのになぁ。面倒くさい…。