赤い狼と黒い兎Ⅱ
「わざとなのか知らないけど、ここ最近朱雀を調べる人がいるみたいでね。足跡もたまに残ってる」
「……はぁ?」
「でもその足跡も一秒も経てば勝手に消える」
「………」
一秒経てば消える?足跡が?そんなこと誰が出来るんだよ。
「しかも、調べられてるのは俺らじゃなくて、昔の…先代達の情報だ」
「先代…」
「ここからは俺の予想だけど…。その調べてる犯人って、馨ちゃんじゃないかなって」
馨が…先代のことを調べてる?でも、何で今更?
アイツは、ガキの頃よくここに遊びに来てたんだろ?それに先代とは顔見知りじゃねえかよ。
なのに…なんで?
「やっぱり、嶽さんの事…か?」
「判らないけどね」
「でも何でまた…」
「総会の時、いつも来ない先代居るよね?」
「!…ああ。5代目の…瑠宇さんの代だろ」
「そう。総長である瑠宇さんと副総長の大樹さん。けど残りの3人だけはいつも来ない」
それと馨が先代を調べる理由に関係あるのか…?
そんな疑いの目を向ければ溜め息をつかれた。
「あくまでも、俺の予想だよ。本当の事知りたいなら、本人に聞く事だね」
「……聞いても教えてくれねーんじゃ一緒だろ?」
「じゃあ、話してくれるまで待てばいいんじゃない?もしかしたら、全ての情報が集まったら話してくれるかもだろ?」
……話してくれるまで待て、か…。