赤い狼と黒い兎Ⅱ



「信じて待ってあげなよ。一応彼氏だろ?」

「一応じゃねぇし…」




ギロッと朔弥を睨めば「冗談だよ」と笑ってパソコンに向き直る。


冗談でもそんなこと言ってんじゃねぇよ。今の俺に余裕なんてない事くらい知ってるクセに…。




「あ〜…退屈」

「お前さっきからそればっかじゃねぇかよ」

「テスト終わってやっと解放されたのに馨が居ねぇんじゃつまんねー」




そう言って入ってきたのは向日葵と龍希と亜稀羅だ。


馨が居なくてつまんねえってのは分かるけど、亜稀羅は馨と一緒に住んでんだから毎日会ってるだろ?




「そういえば、最近馨ちゃんはどんな様子?」

「あ〜?馨の様子?」




亜稀羅は悩むように首を捻って「そうだなぁ…」と呟く。




「最近やたら瑠宇や嶽と一緒に居るなぁ…」

「瑠宇さんと嶽さん?何で?」

「知るかよ。俺にだって何も話してくんねぇし。聞いても“まだ内緒”の一点張り。ああなった馨は全部分かるまで話さねぇからなぁ……」




呆れたように言う亜稀羅に、俺も内心同意する。


アイツはなんていうか…変なところで頑固で何でも自分で解決しようとする癖がある。それを今更直せっても、無理だろうけど少しは頼って欲しいもんだ。




「たださ、俺から言えるのは…」

「うん?」

「前、先代が来た時言ってたろ?“近々デッカい抗争がある”って。それに嶽とか瑠宇が関係あるんじゃねぇの?それに、俺らに手伝って欲しくない時はそんな素振りも見せねえから……今回は手伝えって事なんじゃね?」




“ま、実際馨から聞いた訳じゃねぇから知らねぇけど”と言って、アクビをこぼす亜稀羅。


……さすが姉弟。少なからず馨のやりたい事は分かるんだ。



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