赤い狼と黒い兎Ⅱ
『いや…はは。まぁ、おかげで終わりました』
「そう。それは良かったね?」
『………申し訳ないです』
もう朔弥の笑顔に耐えられなくなった。ほんと怖い。後ろに般若が見える。
ハハ…ともう一度空笑いをして、ソファーに腰をかけた。
『情報勝手に覗いたのは悪かったと思ってるよ。ただちょっと、会いたい人がいてね』
「会いたい人?」
『そ。瑠宇も嶽も連絡先知らないからさ、何か無いかなと思って探った』
「出てきたの?」
『おかげ様でね。居場所は突き止めたよ』
そのせいで徹夜した日が何日あったか数知れず…。まぁ、見つかっただけ良かったんだけど。
すると、ガチャッと予告なく部屋の扉が開けられ全員そっちを向いた。
「馨ー、どこにも無いよ?そんなの…」
『隅まで探したか?』
「朱雀の下っ端使ってまで探したよ!でも無いね」
『あ〜あ。やっぱ捨てられたか、持ってかれたか…』
入ってきたのは春架で、メンバー達には少し探し物をしてもらっていた。だから誰一人ここには入って来なかったんだけど。
その探し物って言うのは朱雀の歴代からずっと大切にされているアルバムなんだけど…。その大切なアルバムがどこを探しても無い。
瑠宇も嶽も、歴代の先代達に聞いても返ってくる返事は「最後に見たのはいつだったかな…」で統一された。
初代から何代目かまではきちんと保管されていたハズなのに、いつの間にかそれが消えていた。
さっきは捨てられた、って言ったけどあれはみんなが大事にしてたアルバムだ。バカな下っ端でも、あれを軽はずみに捨てようなんて考えないだろう。