赤い狼と黒い兎Ⅱ
「うわぁ、懐かしい……」
左右から唯兎と亜稀羅が覗き込んで来て、ゆっくりとアルバムを開いた。
「あっ、これ初代だ」
1ページ目から初代面々がズラリと並び、抗争の時の写真や総会の時の写真、おふざけの写真とたくさん入っていた。
それは初代から7代目まで同じように撮られていた。
「すげぇ…歴代の写真が並んでる…」
「馨。8代目、ちゃんと記録(メモリー)に残してやれよ」
アルバムから目を離して要さんを見ると、曜さんも歩南さんもにっこりと笑っていた。
それにあたしも笑い返し「判ってますよ」と言った。
「悪いな、勝手にアルバム持ち出して」
申し訳なさそうな顔をして笑う歩南さんに、あたしはにこっと笑いかけた。
『盗まれるよりマシ』
そう言うと目を見開いてから「そっか」と笑った。