赤い狼と黒い兎Ⅱ



やっぱり、歩南さんは笑ってた方がいい。




『アルバムも無事帰ってきたし、報酬、何がいいです?』




パタンとアルバムを閉じてニンマリと笑みをこぼした。


歩南さん以外の2人は状況がわからず、頭上にハテナマークが浮かんでいる。




「あ、マジでくれんの?」

『嘘だと思ったんですか?』

「いやぁ…だって、叶えられるもんじゃねぇし」




別にいいよ、って言う歩南さんに溜め息をついてじっと見つめた。


この人は本当に…物欲が無いな。




『叶えれますよ?いいんですか?このまま可愛い彼女さんに逃げられちゃっても』




ニヤリと笑って携帯を突き出した。




「!!、なっ…お前…!」

『いいんですかー?』

「ぶっ!やるな馨!!」

「うわー…何これ盗撮の領域を軽く超えてるよ」




あたしが歩南さんに見せたのは、大学帰りの彼女さんの写真。我ながら、上手く撮れた。



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