赤い狼と黒い兎Ⅱ



「総会……」

「久しく行ってねえなぁ…」

『瑠宇と大樹さん、寂しがってますよ?』




半分本気の半分冗談を言えば3人とも驚いて目を見開く。そして目尻を下げて笑う。




「そっか。あのバカども、寂しがってるか」

「そろそろ、会ってやんねえとなぁ…」

「嶽にも会ってやりてぇしな」




自然と“嶽”と出てきた名前に驚きつつも、笑って見せた。


部屋を出て、表に停めていたバイクに向かう。




「たまには、帰るか」

「そう、だな…」

『戻って来ればいいじゃないですか』




バイクに跨ったままそう言えば3人はまた驚いた顔をした。




『きっとみんなそう望んでますよ』

「……馨には適わねえな」

「考えとくよ」

「気を付けて帰れよ。特に馨!」

『キツイ肉体労働の仕事探しておきますね、要さん』

「やだ、冗談じゃん」




バイクのエンジンをかけて、マフラーを鳴らす。懐かしいでしょ?とそんな視線を向ければ、面白そうな顔をした。




「たまには俺の相棒に乗ってやんねえとな!」

『ホコリ被ってますよ、きっと』

「馨」




歩南さんに呼ばれてそっちを見れば、にっこりと笑っている歩南さんと目が合った。




「豪華な家、期待してるから♪」

『……あー、はいはい』




何だ、そんな事か。と冷めた視線を送れば「半分冗談だよ」と笑われた。




「今度の総会、呼んで。行くよ」

『了解です。それじゃ、また連絡しますね』




手を振ってバイクを発進させた。


元気そうで、よかった。その意味を込めて口元に笑みを浮かべた。



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