赤い狼と黒い兎Ⅱ
アイツの仕事の忙しさは今に始まったことじゃない。こうやって唐突に現れるのも今に始まったことじゃない。
……けど、何でこのタイミング?
幹部部屋へと続く階段を登って、ドアを開ければ中はてんやわんや状態。
『……何やってんの?』
そうあたしが声を発するとみんなこっちを向いて、瑠宇が目を輝かせた。
「おお!!馨お帰りー!」
『何でいんの?』
「ひどっ!」
手に持っていたアルバムで頭をやんわりと叩けば、ヘラヘラと笑う瑠宇。何だかムカついて今度は強めに叩いた。
「痛い!てか何持って……」
あたしの抱えるアルバムを目に入れた瞬間目を大きく見開いた。
「それ……」
『アルバムあったから持って帰って来た。……で、お前は何故ここに居るんだ?』
「…あ、うん。暇つぶしに」
しれっと言う瑠宇に溜め息をついて、各々ソファーに座った。
やっぱり、あたしの左右は唯兎と亜稀羅が占領している。