赤い狼と黒い兎Ⅱ
「まぁ、暇つぶしってのもあるんだけど」
そう言ってタバコを取り出して火を点けると、あたしをじっと見つめた。
「そろそろ動き出しそうかなって思って。様子見?」
『………あたしのパソコン、覗いたな?』
アルバムを見ていたみんなも動きを止めて、あたし達の会話に聞き耳を立てていた。
瑠宇には何も言ってない。嶽にも聞いたのは例の彼女…山崎かすみの事。それだけじゃ何をしているかなんて判らないハズ。
「ついてたの、たまたま見えただけ」
『それ覗いたって言うんだよ』
にっこりと笑う瑠宇に舌打ちをこぼして、ソファーの背もたれにもたれた。
「嶽も、勘づいてたよ」
『…言っとくけど、嶽の為にやるとかそんなんじゃないからね』
「ほう?じゃあ、何?」
ムカつくなこいつ!人のパソコン勝手に見といて!
『…最初に仕掛けて来たのは向こうだよ。あたしはそれにノってるだけ』
「はぁー…なるほど。嶽の事はたまたまってことか」
『そーなりますねー』
「まぁ、事情はなんとなく判ったけど。下と殺り合うって意味、ちゃんと判ってる?」