赤い狼と黒い兎Ⅱ



「興味ないって…」

「じゃあ、何しに潰すの?乱鬼は善良だよね?」




唯兎が呆れたように呟いて、向日葵が首を傾げてそう聞く。




『善良?……あれのどこが?』




ハッ、と見下すように鼻で笑えば向日葵はビクッと肩を揺らす。


テーブルに置いてある煙草の箱に手を伸ばし、そこから1本取り出す。




『実力、人数共に申し分無いけど……アレが裏で何してるか知らないでしょ?』

「裏、で……?」

『知らなくていいよ?どうせ潰れるんだから』




にっこりと、笑顔にならない笑みで向日葵を見つめると怪訝な顔をされた。




「……馨、巡回は?」

『行きたい?』




春架に笑みを見せてそう聞けば、なぜかぐっと言葉を飲み込む。




「馨」




亜稀羅に呼ばれ、横目で見ればにっこりと笑っていた。



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