赤い狼と黒い兎Ⅱ
「馨は乱鬼が先に仕掛けて来たから、って言ってたんですけど…それじゃどうも納得いかなくて」
「……乱鬼?」
乱鬼っつったら、今全国No.3の暴走族チームだろ?アイツ、そんなとこに喧嘩売ってんのか…?
―――いや、待てよ。乱鬼って言えばあの女も……。
「……瑠宇さん?」
「ああ、なるほど。そういうこと…」
乱鬼が先に仕掛けて来たっていうのは、あながち間違いじゃねぇだろうな。多分、馨の事だ。嶽の為じゃねぇとか言ってても、少なからず嶽の事も入ってんだろうな…。
「お前らの好きなように動けばいいんじゃねぇ?馨が“動くな”って言わない限り、お前らはお前らのやりてぇ事やればいい。それだけだ」
馨を信じて待つも良し、自分自身を信じて動くのも良し。お前らは指示されて動く人形なんかじゃねぇ。ちゃんと心のある人間だ。
だから…。
「だから、俺らは遠くで見守ってるからお前らの好きなようにやれ。馨を、守ってやれ」
じっと唯兎を見れば、大きく頷き返してくれる。それに満足して俺は笑った。
「お前らなら…唯兎なら馨を止めれるよ」
俺はそう信じてるから。しっかり馨の横についててやれよ。
-瑠宇 side end-