赤い狼と黒い兎Ⅱ
嶽はキュッと唇を噛み締め、拳を強く握りしめる。
でもその瞳には、前のような闇はない。
「でも……」
『でももクソもねぇ…。変わるのか、変わらねぇのか決めろ。文句はその後で聞く』
今の嶽ならきっと変われるハズだ。
自分に自信を持って、顔を上げて前に進めば変われる。
―――誰でも、変われるんだ。
「……る…」
『あ?』
「っ、お前がそこまで言うなら変わってやるよ!ぜってぇ見返してやっからなッ!覚えとけ!!」
あたしはフッ、と笑みを溢して「上等だよ」と言った。