赤い狼と黒い兎Ⅱ




『だから、やられたんだよ』

「……は、待て待て待て!やられたって…半数も居ねぇじゃねぇかよ!」

「moonが半数以上もやられるなんて……」




あり得ない、と2人の顔が物語っている。それは周りで聞いていた唯兎も朔弥も郁も、同じ顔をしていた。




「馨さん!!」




すると同盟の1人が大声で叫び、あたしは柵から顔を覗かせた。




「俺らの事信じて下さい!絶対誰1人死なせませんから!!」




そう言われて辺りを見渡せばみんな強い志を持った目であたしを見つめていた。


……バカだなぁ。誰が信じてないなんて言ったよ。




『…当たり前だろ?お前らは誰1人として、あたしが死なせねぇよ。仲間を、絶対守れよ』

「「「「はいッ!!!」」」」




これだけメンバーがやられちゃ、あたしだって黙っちゃいない。巡回していたにも関わらず、アイツらの情報は出てこなかった。


さすが、と言うべきか。裏でコソコソと動き回りやがって…。



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