赤い狼と黒い兎Ⅱ
『ぜってぇぶっ潰してやるよ……』
ギュッと拳を握り締め、前を見据えた。そろそろ行く時間だ。
『行くぞ、乗れ』
そう言うと各々動き出し、バイクの準備をし出した。
―――今日の自分は嫌に冷静だな…。自分を、見失わないようにしなきゃな…。
階段をトントンッと降り、自分のバイクの目の前に立つ。
自分自身の目的を忘れるな。絶対に乱鬼を…潰すんだ。
「馨、瑠宇から伝言」
そう言ってバイクを引っ張って隣に来た亜稀羅に「何?」と聞く。
「“あんま自分を追い込むな”…だってさ」
『……はは、余計なお世話だっつーの』
それくらい判ってるよ。今回は大丈夫。みんなが居るし。何よりもあたしは冷静だから。