赤い狼と黒い兎Ⅱ
―――…やっと、乱鬼の倉庫に着いた。
後ろではバイクの爆音が轟く。これだけデカイ音を出していれば、向こうも気付くだろう。
…だんだん、雨が強くなってきたな…。
「馨、シャッター壊していい?」
隣にいた春架が乱鬼の倉庫を指さして、そう言った。
あたしはそれに小さく頷くと、数人の男たちが前に出てシャッターを蹴り始めた。
ガンガンッとシャッターを蹴る音が辺りに響き渡る。
なんだか嫌に落ち着いている自分に、不思議な感じがする。いつもなら、やる気満々ってくらいなのに…。
『(……やる気、出ないな…)』
もしかしたら、瑠宇と嶽が来るって、聞いたせいかもしれないな…。
なんて思っていると、シャッターが派手な音を立てて壊れた。