赤い狼と黒い兎Ⅱ




「なんだ!?」

「こいつら……!!」




ざわざわとざわめく倉庫内を見回し、上を見上げた。…小さな、踊り場がある。


あたしが此処に来た理由はただ一つ。




『どうも、乱鬼の皆さん。狼鬼です。

―――…お前らを潰しに来た』




右手を高く掲げると、たくさんの人間があたしをすり抜けて乱鬼に殴り掛かる。


乱鬼は懐に入れていたナイフやカッター、近くに落ちていた血付きの金属バットを手に持って応戦する。


けれど、どれも対応が遅く呆気なくやられてしまう。


…これじゃ、張り合いにならなくてつまらないな。そう思いながらあたしは奥へと進んで行く。


周りには、誰も居ない。それもそう。…あたしは今、味方に誰にもバレないように進んでいる。まぁ、いつかはバレるだろうけど。




「おらあああああッ!!」




力任せにバットを振り翳す男。あたしはそれをしゃがんで交わし、そのまま足を引っ掛け転けさせる。すると、簡単に崩れ落ちてしまう男の鳩尾に一発、重い拳を喰らわせる。



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