赤い狼と黒い兎Ⅱ
……さっきからこれの繰り返し。だんだん飽きてきた。
カラン、と力無く落ちてしまったバットを拾い上げそれをジッと見つめる。
『……(脅しくらいには使えっかな…)』
なんて、1人場違いなことを思いながらもそれを持って歩く。
そして幹部部屋へと続くであろう階段付近まで来た。上から聞こえる、複数の足音。
…幹部のお出ましかな?
「……派手にやってくれてんじゃねぇかよ、狼鬼」
「これは…誤算だったな」
「テメェら、この落とし前は付けさせてもらうぞ」
そう言って降りて来たのはたったの3人。情報では、幹部は5人居たハズだけどな…。
残りの2人はどこへ行ったんだ?
『……落とし前か。それはこっちのセリフだが?』
バットを肩に担ぎ、目の前へ降りて来た3人を睨みつける。
…この中の1人が総長?いや、でも……。
『(なんだか、違うな…)』