赤い狼と黒い兎Ⅱ
そう息巻く3人にあたしはニヤッと笑い、右手に持っていたバットを掲げた。
3人はバットを見た瞬間、顔を青ざめさせ生唾を呑み込んだ。
『こんなモン使ってる族のトップが俺より強ぇってか?…そりゃあ、見物だなぁ』
「こいつら、どうする?」
亜稀羅が冷静に聞いてきて、どうしようかと悩んだ結果、とりあえず逃げないように縛って放置。
「…で、残るはあの部屋にいる連中だけだけど」
『俺が行ってくる』
「俺が行くよ?」
春架の隣に居た唯兎がそう言ったけれど、首を振って断った。
『みんなはここに居て。…お願い』
あたしからの、最初で最後のお願い。
その言葉にみんなは目を見開いて、あたしを凝視していた。そんなみんなを背にして、あの幹部部屋へ向かう。
……ここは、自分でケリをつけなきゃ。
一段一段、ゆっくりと階段を登る。