赤い狼と黒い兎Ⅱ
そう声を荒らげていたのは、あの女……山崎 かすみだった。
「大体ッ!何そんな女如きにやられてんの!?恥ずかしく無いわけ!?」
「……ッるせぇ」
苦しそうに呟く総長に、あたしは首のところに手刀をした。
総長は音もなく崩れ落ち、床に倒れた。
『……もうすぐここにサツが来る。そいつら出来るだけ寄せとけよ』
そう2階の踊り場から言い、フードをかぶった。
「コイツらは?」
『下に降ろす。亜稀羅!手伝って』
近くにいた亜稀羅に声をかけると、あたしの声に気付いて2階へ上がってきた。
「運べばいい?」
『ん、頼むな』
唯兎と亜稀羅それぞれ総長と副総長を担いで、下へ降りて行った。
あたしは、未だにぷるぷると震えている山崎かすみに顔を向けた。