赤い狼と黒い兎Ⅱ




目尻を釣り上げたままあたしを睨み続けるそいつは、少し涙を見せた。


…こいつ、もしかして……?




「アンタさえ居なければ……瑠衣は死ななくて済んだのに…!!」


『……そ。やっぱり』




あたしがそう言うと女は目を細めて、あたしを見つめる。




『お前、瑠衣のこと好きだったんだな』

「っ!」




女は目を見開くと苦虫を噛み潰したような表情をした。


…元は嶽と付き合っていたんだけれど、ずっと好きだったのは瑠衣で…瑠衣に近付きたいがために嶽と付き合ってた。




「……っだったら、何だって言うのよ…!!」

『本当は瑠衣が好きだったクセに二股かけてたって事だろ?そりゃ瑠衣だって好きにはなんねぇよ』




あたしがそう言うと女は悔しそうな顔をして、歯を噛み締めた。



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