赤い狼と黒い兎Ⅱ




「アンタにそんな事関係ないでしょ!?大体、あたしはね!朱雀の情報さえ手に入れられればそれで良かったのよッ!!」




そう悲鳴に近い声を上げ、あたしを睨み付ける女。


…なんだそれ。




「それに…あたしのモノにならない瑠衣なんて……要らないわ。全部全部っ、利用してやったに決まってんでしょ!?」




そう言ってスカートのポケットからナイフを取り出す女。


その刃先はあたしに向いていて…けれど、女の手は震えていた。


さっきから聞いてりゃ好き勝手言いやがって…。




『……それで?そのナイフで俺を殺そうってか?』

「そうよ…?そしたら、乱鬼がトップになるでしょ?」




ニタリと笑う女に、あたしは溜め息をつきたくなった。


こんなひょろい女にあたしらが…、あたしが殺られるって?


冗談じゃない。



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