赤い狼と黒い兎Ⅱ
『…お望み通り、殺るんならやれよ』
少し殺気立って言うと女の顔がもっと青白くなり、腰が引けていた。
あたしがパッと手を離せば、女は力無くペタンと地面に座る。
『そんな勇気も無いクセにこんなもん持ってんじゃねぇよ』
女の後ろにナイフを放り捨てると、女はビクッと肩を揺らした。
あー…、パックリ割れてんなこれ……。
『(ま…、こんくらいで済んだならいーか……)』
ふっと笑って、女を見下し見た。
さっきとは打って変わってガタガタと震えだし、自分の両手をじっと見つめている。
『良かったな。あの男とブタ箱まで一緒だぜ?このまま一生一緒にいろや』
「……っ」
ガッと胸元を掴んで持ち上げると、女の目には涙が浮かんでいた。
……やる気無くす。