赤い狼と黒い兎Ⅱ




『……何で泣いてんの?お前が望んだことだろ』




意味分かんねぇ、って顔をすれば女はあたしをじっと見つめた。


………なに。




「あたっし…っ血…が……っきらいで……っ」




………知るか。てめぇがやったんだろうが。


はぁ…と小さく溜め息をついて、あたしは服の裾を破いた。




『ん』

「えっ…?」




布を女の前に突き出すと女は不思議そうに首を傾げた。




『チッ…。それ、右手に巻くだけいいからやってくんね?』

「あっ」




理解した女はわたわたしながらあたしの右手に布を巻いてくれた。


…結構綺麗。



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