赤い狼と黒い兎Ⅱ




は、と息をはいて少し小さく…笑った。




『言葉は、想いを伝える為の手段。それを怠ったのは…アンタでしょ?逆恨みもいいところだよ』




アンタがちゃんと伝えていたら…少なくともこんなことにはならなかったハズ。


嶽も瑠衣も、みんなバラバラにならなくてすんだ。


…ひとつ何かが欠けると、全てが狂ってくる。




『アンタが…勇気を出して想いを伝えてたなら、こんな風にはならなかっただろうね』

「う…っ」




頭をぽんぽんと叩くと女は糸が切れたように泣き出した。


……もう、面倒くさいな。


あたしは立ち上がって柵から下を見下ろした。




『乱鬼は―――…今日限りで解散だ』




あたしが低くそう言うと、みんな騒ぎ立てた。


ふっと小さく笑みをこぼし野田に電話をかけた。



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