赤い狼と黒い兎Ⅱ
『もうすぐサツ来るみたいだから、引き上げるぞ』
「ん。…てか運転出来んの?」
チラッと右手を見つめて言う唯兎にあたしは「多分大丈夫」と曖昧な返事をした。
「総長!あいつらどうしますか?」
近くに寄ってきた下っ端がそう言ってきて、あたしはあいつらを目に入れた。
『……逃げられたら困るから一応見張っといてくれるか?』
「了解しました」
下っ端くんは踵を返して乱鬼の元に戻った。
『倉庫戻るぞ!』
少し声を張って言うと、みんなバイクに乗って動き出した。
あたしもバイクに乗りハンドルを握ったとき、右手にズキッと痛みが走った。