赤い狼と黒い兎Ⅱ
『……っち』
思った以上に深く切れてたみたいだ。
小さく溜め息をついてちらりとあの女を見た。諦めたように地面に座っている女。
…自業自得って言えば、それまでなのかな。でも、もっと早く伝えれば良かったんじゃなかったのかな…。
「馨?行くよ」
『……ん』
亜稀羅にそう言われてバイクを吹かした。
―――…遠くの方で、パトカーの音が聞こえた。
誰かが悪いとか、そんなんじゃなくて…ただ一言話し合えば済んだ話だったのかなって今は思う。
けれど、下の連中が上を狙うのはおかしくないしそういうのを利用しようと思うのも変じゃない。
『(そういうモンか……)』
力のあるやつは上へ上りたいと思うのは普通のことってか…。
……まぁ、これで終わったからいいんだけど。