赤い狼と黒い兎Ⅱ
不意にそう言った唯兎に目を向け、首を傾げた。
あたしだから…?
「ありのままの馨が良いから、これだけたくさんの人が馨についてきたんだよ」
「下心のない馨が大好きだから」
『……じゃあ、朱雀もその一部なんだ?』
じっと唯兎を見つめて言えば、何故か頬を赤らめて顔を逸らされた。
……?
「そ……」
「そうだよ?」
「馨ちゃんだからここまで一緒に来たんだよー」
唯兎が何か言いかけてたけれど、それは亜稀羅と郁に遮られていた。
「おまえら〜…っ」
「そんな純情ボーイ気取るなよ、唯兎」
「そうそう。気持ち悪いよ?」
亜稀羅と郁に罵られて唯兎は眉を吊り上げて怒っていた。
「純情ボーイ…っ!」