赤い狼と黒い兎Ⅱ
倉庫から出て、唯兎を探してキョロキョロとする。
少し、肌寒い。
『(唯兎、どこだー…?)』
ポケットに手を突っ込んでぼーっと歩いていると、防波堤のところに座っている人がいる。
……拗ねてんのか、あれ。
『おにーさん、こんなところでヤケ酒ですかー?』
「……馨」
……ちょっとくらい驚いてくれてもいいんじゃない?
ふん、と鼻であしらってから防波堤に頬杖をついてもたれた。
「ヤケ酒じゃないけど」
『今それ言うか』
言うのが遅いっ!さっきそれ言ってくれればよかったのに。