赤い狼と黒い兎Ⅱ
手で顔を覆って、チラチラとあたしを見る唯兎。
『……何?』
「…っ、馨が急に笑うから…」
……あたしだって笑うんだけど。
まぁ…いっか。
『じゃあもう、わらわない』
「え!?」
『だってあたしがわらう度にどぎまぎしてたら世話ないもんね』
そう言うと唯兎はあたふたと焦りだした。
……面白い。
「やっ、大丈夫!慣れる!たぶんそのうち慣れる!」
『えー…?』
「馨の笑顔が俺の源なんだよ!」
必死になって言ってくる唯兎と、無表情でずっと見つめてるあたし。
これ絶対端から見たら不思議な光景だろうなぁ…。