赤い狼と黒い兎Ⅱ
『大袈裟』
「それくらい馨のこと大事なの!」
『……もういいよ』
聞いてるこっちが恥ずかしくなってきた…。
恥ずかしくて顔を逸らすと、とん…と何かが降りる音がした。
するとふわりと唯兎の香りに包まれて、そこで抱き締められたってことを理解した。
「大事、なんだよ」
『わかったって……』
唯兎から逃れようと、もぞもぞと動くけれど全然離してくれない。
もうめっちゃ恥ずかしい…。
「馨、moonから辞めたら大人しくなりそうだね」
『ん…。することないからね』
「でも、遊びに来るんでしょ?」
少し体を放して、あたしの顔を見つめてからにこっと笑う唯兎。
……うわぁ…さっきの逆だ……。
『高校卒業するまでは行く…』