赤い狼と黒い兎Ⅱ



「ま、いっか。ずっと馨が傍に居てくれればいいし」




ぬいぐるみみたいにぎゅうと抱きしめてきて、ちょっと苦しい。


…けど、最近こういうの無かったから嬉しかったりもする。




「馨のためにも怪我出来ねぇなぁ」

『……引退しないの?』

「おー、そうだなぁ…。高校卒業したら辞めるかもな」




曖昧な返事をして苦笑いをする唯兎。


みんな辞める頃合いが高校卒業してからなのかな…。それ以上続けてもいいと思うんだけど。




『…そっか』

「ん。馨が他の男見ねぇように、鍛えないとな」

『なんで?』

「だって誰にもあげたくないし。馨守れるくらい強くありたい」




……じゅーぶん強いと思うけど…。




『他の男になびかない。もうじゅーぶん守ってもらってる』

「馨…」

『それくらい……すきってこと』




そう言ってから自分の頬に熱が集まるのがわかった。


はずかし……。


< 357 / 360 >

この作品をシェア

pagetop