赤い狼と黒い兎Ⅱ
「ま、いっか。ずっと馨が傍に居てくれればいいし」
ぬいぐるみみたいにぎゅうと抱きしめてきて、ちょっと苦しい。
…けど、最近こういうの無かったから嬉しかったりもする。
「馨のためにも怪我出来ねぇなぁ」
『……引退しないの?』
「おー、そうだなぁ…。高校卒業したら辞めるかもな」
曖昧な返事をして苦笑いをする唯兎。
みんな辞める頃合いが高校卒業してからなのかな…。それ以上続けてもいいと思うんだけど。
『…そっか』
「ん。馨が他の男見ねぇように、鍛えないとな」
『なんで?』
「だって誰にもあげたくないし。馨守れるくらい強くありたい」
……じゅーぶん強いと思うけど…。
『他の男になびかない。もうじゅーぶん守ってもらってる』
「馨…」
『それくらい……すきってこと』
そう言ってから自分の頬に熱が集まるのがわかった。
はずかし……。